元文化部と元運動部の深夜ウォーキング
ゴールまで
最後の一キロで歩くスピードを遅くしたら不審に思われるだろうか。

疲れたからっていう理由だったら嘘だとバレないだろうか。
 
そんなことを考えているのに歩くスピードをゆっくりにする勇気すらなくて、勝手に足は動いていく。

心はついていかなくても、体はこのウォーキングを勝手に終わらせようとしている。
 
初めは冗談めかして言えた言葉もきっと今は言えないかもしれない。

「にしても、四キロって歩けるもんでしょ?」

「うん、びっくりした」

「ついに長谷川さんもウォーキング仲間になっちゃうかー」

分かっている。ここはノリで「なるはずないでしょ!」ってツッコむ所。
 
だって歩き始める前の私だったら、きっとそう返していた。
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