無敵なお嬢様はだまっていられない! 〜問題児な執事4人を、私がまとめてプロデュース!?〜
 特訓本部に戻ると、私はすぐに夜一くんに目配せをした。
 テーブルの上に、街で一番人気のパティスリーの限定ケーキと、いい香りの紅茶がきれいに並べられる。

「さあ、みんな」

 私は手を腰に当てた。

「最近、よく頑張ってくれているわね。執事としても、私のチームとしても」

 一人ひとりを見る。

「だから今回は――ご褒美よ。特別なティータイムを用意したわ!」
「うおぉ! マジで!?」

 嵐くんが勢いよく身を乗り出した。

「これ、並ばないと買えないやつじゃん! お嬢、最高!」
「嵐、がっつきすぎ。ケーキは逃げないって」

 朔があきれた顔で、嵐くんのえり首をつかむ。
 ……でも、その目はしっかりイチゴのタルトを見ている。

「ふふ、いいわよ。今日は無礼講だもの」

「ありがとう、お嬢様」

 レオくんが私の隣に座って、にっこり笑う。

「でも――お嬢様が食べさせてくれるなら、それが一番うれしいな?」
「なっ……!」

 思わず顔が熱くなる。

「そういうのはいいから、早く食べなさい!」

 フォークを押しつけると、みんながドッと笑った。

「……これ、すごくおいしいです」

 夜一くんが静かに言う。

「こんなやさしい味のケーキ、初めて食べました」

 大事そうにケーキを食べる姿に、胸がふわっとあたたかくなる。

「あなたたちの頑張りを、一番近くで見てたのは私なんだから。これくらい当たり前よ」
「へへ、そう言われるとやる気出るな!」

 嵐くんが笑う。

「次の特訓も頑張れそうだぜ! ……あ、朔、そのチョコパイ一口――」
「断る。自分のを食べなよ」

 ぴしゃりと返す朔。
 それでもめげずに手を伸ばす嵐くん。
 その様子に、また笑いが広がる。
 夜一くんは静かにケーキを味わっていて、レオくんは、優雅にお茶を飲みながら私に微笑んでいる。
 本当は――私は、みんなを分析して育てる立場のはず。
 でも。
 こうして一緒にお菓子を囲んでいると、なんだか普通の放課後みたいで。
 最強の執事になるためには必要じゃないデータかもしれないけど。
 こういうのも、悪くないわね。
 窓の外には、やわらかな夕焼け。
 特訓本部には、しばらくのあいだにぎやかな笑い声が、響いていた。
 
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