きみと、まるはだかの恋
 原因が分かっているのに改善できないのが悲しい。だって、インフルエンサーの仕事は好きだし、毎日忙しくしていないと明日の仕事がなくなる気がして、怖いのだ。
 会社員とは違って、毎月同じお給料が保証されているわけではない。今はかなり稼いでいるほうだが、いつ仕事がなくなかどうかも知れない。一度失敗して信用を失ってしまえば取返しのつかないことになる。そんなシビアな世界で私は生きることを選んだのだ。もちろん、会社員だってどんな仕事だって、明日を完全に保証されていることはないのだろうけれど。会社員だった時代とは、気の持ちようが一線を画していた。

 と同時に、相手に愛情を伝えそこなうのも怖くて、つい「好き」という気持ちを何度も伝えてしまう。相手が「好き」と発する頻度と自分とでは、圧倒的に自分のほうが多い。
 あまり会えないわりに、会ったときは好きを全力アピールしすぎて引かれてしまう。

「ああ、もう。辛気臭いこと考えるのはやめよっと」

 私は基本、明るい性格をしているほうだと思う。
 こうして好きだったひとから別れを告げられても、切り替えて頑張るしかないと意気込んでしまうぐらいには。
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