きみと、まるはだかの恋
「ごめん、やっぱり答えなくていいっ」

 焦った口調で彼の言葉を遮る。昴は「は?」と首を傾けて不服そうにした。

「そういうのは、その……もうちょっと落ち着いた環境で聴きたいから」

 二人きりの車内だって十分落ち着いた空間だとは思うのだけれど、面と向き合うことができないし、さっきみたいにお互い動揺して事故になりかけたらまずい。

「……そっか。分かった」

 昴も、私の気持ちを汲んでくれたのかそれ以上話をすることはなかった。五分ほどして昴の家に着いてからも、なんとなく気恥ずかしくて、普段よりも会話は少なかった。
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