きみと、まるはだかの恋
「いくつか農家を回ってみましょう。そのあと、お昼ごはんは地元の食材を使ったレストランにご案内します」
雨脚が強まるなか、木川さんの案内には熱がこもっていく。ここに外からひとが来るのが相当嬉しいんだろうな。私はあくまで仕事の一環だと割り切っているが、木川さんにとっては自らが生きる場所を多くのひとに知ってもらうチャンスなのだ。星見里の魅力を都会の人間にも伝えたいという気持ちがありありと伝わってきた。
スマホの時計を見ると、十時三十二分。
木川さんの宣言通り、早速一つ目の米農家を訪ねようとあぜ道を歩いていた時だ。
前方から白い軽トラックが走ってきたので、私たち一行はさっと横道に入る。狭い道なので、車同士はおろか、車とひともすれ違うことが難しい。目の前を通り過ぎていく軽トラックをぼんやり眺めていると、運転席に座っている男性にはっと視線が吸い寄せられた。
「えっ」
男性と一瞬目が合って、頭からつま先まで、ビイイン、と電撃が走ったかのような衝撃を覚えた。瞬間、トラックが急ブレーキで止まり、運転席の扉が開いた。
「どうしたんでしょう?」
中井さんが首を傾げていると、運転席から傘をさして出てきたつなぎ姿の男性が、目を丸くした状態で私をじっと見つめていた。
なんで……どうして。
高校生の頃よりは少しだけ短い黒髪が、大きな瞳を際立たせる。すらりと背が高いのは、十年前より身長が伸びたんだろう。ぱっと見180cm……いや、185cmはありそうな身長だ。
見た目は少し変わっているけれど、私を見つめるまっすぐなまなざしは変わらない。
心臓が、とくりとくりとどんどん早くなっていく。
雨脚が強まるなか、木川さんの案内には熱がこもっていく。ここに外からひとが来るのが相当嬉しいんだろうな。私はあくまで仕事の一環だと割り切っているが、木川さんにとっては自らが生きる場所を多くのひとに知ってもらうチャンスなのだ。星見里の魅力を都会の人間にも伝えたいという気持ちがありありと伝わってきた。
スマホの時計を見ると、十時三十二分。
木川さんの宣言通り、早速一つ目の米農家を訪ねようとあぜ道を歩いていた時だ。
前方から白い軽トラックが走ってきたので、私たち一行はさっと横道に入る。狭い道なので、車同士はおろか、車とひともすれ違うことが難しい。目の前を通り過ぎていく軽トラックをぼんやり眺めていると、運転席に座っている男性にはっと視線が吸い寄せられた。
「えっ」
男性と一瞬目が合って、頭からつま先まで、ビイイン、と電撃が走ったかのような衝撃を覚えた。瞬間、トラックが急ブレーキで止まり、運転席の扉が開いた。
「どうしたんでしょう?」
中井さんが首を傾げていると、運転席から傘をさして出てきたつなぎ姿の男性が、目を丸くした状態で私をじっと見つめていた。
なんで……どうして。
高校生の頃よりは少しだけ短い黒髪が、大きな瞳を際立たせる。すらりと背が高いのは、十年前より身長が伸びたんだろう。ぱっと見180cm……いや、185cmはありそうな身長だ。
見た目は少し変わっているけれど、私を見つめるまっすぐなまなざしは変わらない。
心臓が、とくりとくりとどんどん早くなっていく。