きみと、まるはだかの恋
 昴と別れたあと、木川さんに案内されて星見里の農業を紹介してもらった。地産地消の食堂でご飯を食べると、いよいよ雨が土砂降りに近くなり、今日のところは早々に解散することになった。乗ってきたマイクロバスに再び乗り込み東京へ。東京も雨が強かったので、北村さんのご厚意でそのまま私のマンションの前まで送ってくれた。

「ほえ〜ものすごいタワーマンション。さすがハナさんですね」

「とんでもないです。見栄張ってるだけです」

 中井さんが車内からマンションの上の方まで見上げようとしているようだが、おそらく対象が近すぎて上までは見えないだろう。一番上は二十七階まである。真下から見上げたら首を90°に曲げなくちゃいけなくなる。

「日取りが悪くて申し訳ないね、ハナさん」

「いえ、仕方ないですよ。事前にご相談さえいただければ、私のほうはまたいつでも馳せ参じます」

「心強いよ。ちょっとまた会社に帰っていろいろと確認して、また星見里を訪ねることになったら連絡します」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」
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