クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
「日向ちゃん、そういえば学校の王子って…」
前に日向ちゃんから存在は教えてもらったけど、名前は聞いてなかったから、なんていう人なの?と聞こうとした時。
「キャー!」 「かっこいいー!」
と女子の黄色い声があちこちから響いた。
「ほら王子の……綿谷の登場よ」
「………わたや?」
一瞬、耳を疑った。
呆れるように先を見つめる日向ちゃんの視線を追う。
周りの女子たちの声に一切反応なくこちらに近づいてくる、
紛れもない、綿谷くんだった。