クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
「声、でかすぎ」
聞き慣れた声が頭上からして、私は顔をあげる。
「わ、綿谷くんっ!?」
「華子、捕まえた」
おろおろする私に、綿谷くんが穏やかな声で言う。
そのまま、綿谷くんは私を離すことなく、近くの空き教室まで連れていく。
「わっ!」
ガラガラと、扉の閉まる音がして……
その扉を背もたれに、私を抱き寄せたまま床に腰を下ろし、自分の胸に私の背を預けさせた。
相変わらず、腰には腕が回されて、立ちあがろうにも立ち上がれない。