クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!

✳︎

「貸し出し期間は二週間です」


「ありがとうございます」


放課後、いつものように図書館に来ていた私は、手続きを終えてカウンターで本を受け取った。


ずっと借りたいと思っていた一冊。今日は帰ったらすぐに読み始めよう。


廊下を歩きながら、本を抱きしめるように眺めていると――


「おい」


「きゃっ!」


突然、すぐ後ろから声がして、腰に腕が回された。


強く引かれ、バランスを崩して二、三歩よろめく。


本に夢中で、背後の気配に気づいていなかった私は、不意を突かれて思わず悲鳴をあげてしまった。
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