クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


日向ちゃんにそう聞き返せば、日向ちゃんはおでこに手を置いて、はあと大きなため息をついた。


「オウジっていうのは、この学校で1番人気のある男子のことを王子って呼んでるの。えーと、名前なんて言ったっけ…あ、そうそう確かーー」


と、このタイミングで朝の予鈴が鳴ってしまった。


「あーあ、チャイム鳴っちゃった。じゃ、あたし戻るね。また昼休みに来るから」


「うん。また後でね」


私は日向ちゃんに手を振って、本をカバンにしまった。


昼休みに日向ちゃんから聞いた話によれば、王子は私たちと同じ1年生にして、すでに学校の1番の座についているらしい。


噂に疎い私はこの1ヶ月間、何にも知らなかったんだけど…


そんな王子に昨日、学校のマドンナ的存在である花岡さんが告白した。


花岡さんは女子も認めるほどの可愛い子だから、王子も告白をオッケーすると女子たちは思っていたらしいんだけど…


王子はそんな花岡さんからの告白を断ったらしく、その情報が校内中に広がって、クラスの女の子たちがあんなに騒いでいたみたい。



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