クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
でも日向ちゃんはそんな噂に全く興味がないみたいだし、そんな有名人さんと関わる機会なんてないと思っていた私も、「そうなんだ」くらいで終わってしまった。
王子様、と崇められる男の子の名前も、結局知らないまま。
それから午後の授業はいつも通りに進んで。
私の中ではすっかりそんな話も、黒板の文字と一緒にどこかに消えていった。
私と“王子様”の世界は、交わることのない線だと思っていたから。
けどこの時の私は、これから起こる出会いが今後の生活を大きく変えることを、まだ知る由もなかった。