クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
忘れられない存在 (蓮side)
(蓮side)
真っ暗な自室に入って、適当に荷物を放る。
俺は電気をつけないまま、月明かりだけが差し込む部屋でひとり、ベッドに身を投げる。
おでこに腕を置きながら、薄暗い天井を見つめた。
「坂本 華子……」
会いたくてたまらなかった女の名前を、口にする。
まさか、こんなにも突然、あいつと触れ合う機会がくるとは思ってもいなかった。
頬に触れた柔らかさを思い出すたびに、息が詰まる。
消えない余韻が、心をざわつかせていた。