クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
「こ、これじゃ料理できないです…」
「気にしないで、続けていいから」
む、無理!
今の状態でなんて、ドキドキしすぎて何もできるわけがない。
私はなんとか綿谷くんの腕を引き剥がして、口をとがらせる。
「もう、真っ黒なハンバーグ食べたくなかったら、テレビでも見て待っててください!」
「…テレビなんて、普段あんま見ねぇし。それに、黒焦げでもなんでも、食べるけど?」
当たり前だろ、みたいな顔をされて、私はうぐ…と言葉に詰まりそうになりながらも、なんとかそれを耐えた。
「何言ってるんですか…とにかく、完成するまで待っててください!」
綿谷くんの背中をぐいぐい押して、キッチンから遠ざける。
綿谷くんは不機嫌になりながらも、ソファの方へと向か って、少しするのテレビの音が聞こえてきた。
よ、よしっ。今のうちに作っちゃおう…
その隙を狙って、私は料理を再開することにした。