クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
もぐもぐとハンバーグを頬張る綿谷くんの様子に小さく笑って、私はとにかく広すぎるリビングへと視線を移す。
こんな大きな家に、綿谷くんひとりきりで……寂しくないのかな…
「綿谷くんのご両親は、出張とか多いんですか?」
「…まあ、両親つうか。俺んち、母親いないから、父親とふたり。でも親父は海外に行ってることが多いし、年に数回しか帰ってこない」
表情を変えることなく、淡々と告げる綿谷くん。
あまりにも慣れた様子で、こちらの胸が少しだけ痛くなる。
「じゃあ綿谷くんの誕生日とかに、お父さんは帰ってきたりは…?」
「ない」
「…そうなんですか」
私が綿谷くんなら、ひとりの生活なんて心細くてやっていけない。