クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
「綿谷くんの誕生日はいつですか?」
「…6月3日だけど」
訝しげに答える綿谷くんを横に、私は近くのカレンダーを見た。
「じゃあ誕生日まで、1ヶ月もないんですね」
綿谷くんもカレンダーをみて、「…ああ」とつぶやく。
「自分の誕生日とか、全然気にしたことない」
その言葉に、私は少し胸がちくりとした。
「……寂しくないんですか?」
「別に」
相変わらずのクールな顔をしているように見えたけど、どこか少しだけ、声の端に寂しさが滲んでいる気がした。