クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


「…友達、な。まあ、今はそれでいいけど」


いつのまにかハンバーグを全部食べ終えた綿谷くんが、私の方をじっと見つめる。


「…な、なんですか?」


「華子にとって、俺は友達なんだろ?」


「は、はい」


そして、綿谷くんが言う。


「なら、敬語禁止」


「ええっ!?そんな、いきなりですか!?」


思わず声が裏返ってしまった。


胸の奥がざわざわして、フォークを持つ手まで落ち着かない。


「…少しずつ慣れていけるように、頑張ります」


「もし敬語使ったら…」


「…使ったら…?」


なんだか嫌な予感に心臓がドキドキする。


「その度に、お仕置きする」




ニヤリ、と黒い笑みを浮かべた綿谷くんに、私は「そんなあ…」と力のない声を漏らした。




< 86 / 174 >

この作品をシェア

pagetop