幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
ユリウスは薔薇の園の真ん中で、私の両手をしっかりと握った。

「ユリウス殿下、あの……」

胸が早鐘のように鳴り、言葉がうまく続かない。

「君にプロポーズすると言っただろう。」

その静かな宣言に、心臓が跳ねた。

──本当に、この薔薇の中で彼は私に結婚を申し込もうとしているのだ。

ユリウスは真剣な眼差しのまま、ゆっくりと動いた。

そして次の瞬間、意を決したように私の前に片膝を着いた。

「殿下! そのようなことを……!」

一国の皇子が、公爵令嬢に片膝を着くなど、あってはならないこと。

慌てて声を上げたが、彼は揺るがなかった。

「セシリア。俺にとって地位や形式より大切なのは、君だ。」

凛とした声音が薔薇の園に響き渡り、花々さえその瞬間を祝福しているかのようだった。

私は震える唇を押さえ、ただその姿を見つめる。

──これ以上の言葉は不要だと、胸が告げていた。
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