キミノオト
「海音のことだから、俺たちのことを思ってくれてるのはわかってた。でもちゃんと話し合いたかったよ」
陽貴君のためになるって勝手に決めつけて、話し合いから逃げた自分が情けない。
「そのうえで納得して、俺のそばに居続けてほしい」
真剣な瞳が私を捉えている。
「海音、トリノコシのことは考えないで、正直な気持ちを教えてほしい。俺のことが好き?まだ側に居たいと思ってくれる?」
そんなの決まってる。
でも本当にいいんだろうか。
私なんかが。
「私なんかは禁止。そんな呪い、俺が解いてあげる」
陽貴君なら本当に解けちゃいそう。
優麻ちゃんがこんなにも私のために動いてくれたのに、無駄にしたらもう友達やめられちゃうかも。
素直な気持ちをぶつけてみよう。
「陽貴君が好き。嫌いになんかなれるわけない。側に居たいよぉ」
涙が溢れてしまった。
「やっと、海音の百面相が戻ったね」
優しく抱きしめられる。
このかおり、体温。
「もう離れないで」
陽貴君の苦しそうな声に、うん、と短く返事をする。
「キスしてもいい?」
返事の代わりに、陽貴君と視線を交わらせ、ゆっくり目を閉じた。