【失恋同盟】
⑦ 揺心模様
放課後、佐成くんの腕の中。
抱きしめられるのも、だいぶ慣れてきた。
そのぬくもりが、今では安心に変わっている。
「最近、高瀬と話してる?」
私を抱きしめながら、佐成くんがぽつりと呟いた。
「…距離、おいてて…」
あのファミレスの一件以来、駿とは顔を合わせていない。
毎日のように、休み時間になると教室に来るから。
私はいつも、この空き教室に隠れている。
結菜とも、正直気まずい。
でも、結菜はあの日なにがあったのか知らないみたいで。
私も、何も言ってない。
というか、結菜には言えない。
ほんとは、私も駿のことが好きだなんて。
そんなこと、言えるわけない。
結菜の笑顔を思い出すたびに、胸が痛くなる。