【失恋同盟】
⑦ 揺心模様



放課後、佐成くんの腕の中。

抱きしめられるのも、だいぶ慣れてきた。

そのぬくもりが、今では安心に変わっている。



「最近、高瀬と話してる?」



私を抱きしめながら、佐成くんがぽつりと呟いた。



「…距離、おいてて…」



あのファミレスの一件以来、駿とは顔を合わせていない。

毎日のように、休み時間になると教室に来るから。

私はいつも、この空き教室に隠れている。


結菜とも、正直気まずい。

でも、結菜はあの日なにがあったのか知らないみたいで。

私も、何も言ってない。

というか、結菜には言えない。

ほんとは、私も駿のことが好きだなんて。

そんなこと、言えるわけない。

結菜の笑顔を思い出すたびに、胸が痛くなる。


< 104 / 286 >

この作品をシェア

pagetop