【失恋同盟】
他のことは考えずに。
…考えたくないから。
最初の競技は、徒競走。スタートラインに並ぶ男子たちの中に、駿の姿が見えた。
「駿がんばれー!!」
隣のクラスから飛んできた大きな声に、胸がぎゅっとなる。誰かが駿を応援してる。それだけで、心がざわついた。
隣に座る結菜と目が合う。
「結菜…」
結菜は口元を笑わせながら言った。
「駿走るんだって!見に行く?」
その目の奥が、少しだけ悲しそうに揺れていた。
ごめん、結菜。 全部、私のせいだ。
「…よし!結菜!駿のこと応援しに行こう!」
私は結菜の腕を引っ張って、前の方へ走った。
駿の名前を呼ぶ声が、あちこちから飛び交っている。