英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「ほ……ほら、手当は終わったぞ」

 急かすように言われて話はそれまでになってしまう。
 けれども、根拠不明のご褒美タイムにはまだ先があった。わたしのために一日時間を取ったというロキ君が、館内を案内してくれるというのだ。

(なんてこと! 天は我を見放さず……だわ!)

 喜び勇んで部屋を出て、まずは念願であった図書室へ。
 そこは本館の一角から天に突き出す塔を丸ごと使った贅沢な設備で、蔵書数は数千にものぼるという。利用については、常識的な使い方をするのであれば問題ないとのこと。これでしばらくは有意義な時間を過ごすことができそうだ。

「以前のアレクシアとはえらい違いだな。あいつは勉強嫌いで、相当の馬鹿だったぞ」
「そ、そうなのね」

 知識がなければ困るのは自分自身だ。これまでは貴族の娘として無知が許される立場だったのかもしれないが、この先はそうもいかない。
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