英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 彼女らがどんな行動をしようが、以前のアレクシアと違い、わたしは怒鳴らないし、暴力を振るうこともない。威張り散らしていた女主人が急におとなしくなり、脅威を感じられなくなったとすれば、軽んじて仕返しをしようと考える者が出てくるのも当然だ。

 どうしたものかと暗い気持ちになりながら、お皿に戻したカップを遠ざけた。

     *

 ある日の昼下がり、天気が良かったので、上階にあるバルコニーで本の続きを読もうと思い立った。

 入り組んだ館内を移動中、ふと渡り廊下の外に視線を向けると、下層にある施設でなにやら雄々しい歓声が飛び交っている。見覚えのある建造物は、いつぞや迷い込んだことのある石造りの訓練場だ。
< 117 / 398 >

この作品をシェア

pagetop