英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 パタパタと尻尾を振っている黒いほうの獣を見ていたら、ふといつかの黒猫のことを思い出した。サイズは異なれど、色と形はそっくりだ。

(あのときの猫ちゃん……まさか、あの二匹の子どもだったりして?)

 されば某猫は猫ではなかったということになるが、たしかにあの子は耳の先が丸くて、手足も太めでどっしりしていた――なんにせよ、愛らしかったことには変わりない。

 触れ合った記憶を思い返していたら、どうしてもまた会いたくなった。
 もしや、あの子も彼らの近くにいるのだろうか。

 少し考えてから、行く先を変更し、下り階段のほうへと足を向けた。
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