英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 給仕をするべく入り口で待機していた当館のメイドも仕事に取りかかれず、困っているようだ。メイドたちは少し騒動を起こすとすぐに噂を広めそうだが、これだけ多くの人の目に触れたのだから、事実が正しく伝わることを祈りたい。

(今回ばかりはわたしは悪くないと、わかってくれたかしら……)

 毅然と顔を上げ、纏わりつく視線を振り払ってその場を離れた。


 食事の予定がふいになってしまったため、わたしの夕食は別で用意してもらわなければならない。直接、調理係にお願いしようと思い、回り道をした。

 使用人が働いている区画に赴いて、慌ただしく作業中の厨房を覗き込む。すると手前にいた若手のスタッフがわたしに気づいて、慌てて奥に引っ込んでいった。
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