英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 程なく現場の長と思われる男性が姿を見せ、こちらへと歩いてくる。コックコートを身につけた調理長は、上背があり筋骨隆々として、腕っ節が強そうだ。

「奥様。なにかご用ですか」

 大男の迫力に押され、ぎこちない微笑みを浮かべながら、頼み事を口にする。

「あの、わたしの分のお食事を、部屋のほうにお願いしたくて……」

「要は、また料理が気に食わなかったってことですかい」

(えっ……?)

 調理長は不快感をあらわに、吐き捨てるように言った。
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