英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
(今夜は食事抜きか……)

 ひと晩くらい食事をしなくてもどうということはないが、落胆の色が隠せない。
 ロキ君が顔を出してくれたらいいのだが、彼は夕方からルシウス様の命令で外出していると聞いている。あの子以外にわたしの部屋を訪ねてくる物好きはいないだろう。

 諦めかけていると、しばらくして遠慮がちに扉をノックする音がした。

「はい……。あら、ヒルダさん?」

 扉を開けて視線を下げると、そこには銀髪の少女が立っていた。

「……普通は入室を許可する旨を言って、部屋の主は中で待つものなのですが」
「あ、そうよね。ごめんなさい……」
「いちいち謝らなくて結構です。あなたはご主人様がお認めになられた領主夫人なのですから、それらしく振る舞ってください」
「は、はい……」
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