英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「公爵位にも興味はないし、式典に参加するのもわずらわしく思っているのだが、今回ばかりはどうしても断れなくてな……。その場には、妻同伴で出席するよう王命を受けている。巻き込む形になり悪いが、一緒に行ってくれるだろうか」

 わたしに不安を与えないよう言葉を尽くしてくれているのがわかっていても、心は冷えていくばかりだ。そんなわたしに、彼の「誠意」が突き刺さった。

「すべて片がついたそのときは――十分な謝礼金を支払うと約束しよう」

(それって、手切れ金ってこと……?)

 頭の中で、糸がぷつりと切れた音がした。それはきっと「希望」とでもいうべき、浅はかな自分がすがっていたなにかだ。
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