英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 そもそも離婚に至った要因は、アレクシアにある。なのにきちんとした見返りをくれるというのは、心底ありがたい話だ。当初はわたし自身も離婚は互いにとって最善と考え、こうなることを望んでいたはず。だけど――。

(お金なんていらない。本当は、あなたの妻でいたいのに……)

 息苦しさを覚えて胸を押さえると、異変に気づいた彼が声をかけてきた。

「アレクシア。どうした?」
「……大丈夫です。少し、今までのことを思い返して……感極まってしまいました」

 澄んだ青い瞳が、わたしを見つめている。落ち着かなくてはと、こくりと唾を飲み込んだ。
 彼のためにできる限りのことをしたい。たとえ期限つきであっても、わたしという妻がいたことを覚えていてほしい。
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