英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 戸惑っているうちに男性は窓際を離れ、こちらに近づこうとする気配を見せた。
 思わず身構えたが、相手は執務机の手前に来たところで板面に腰を寄りかからせて、その場に落ち着いた。

「アレクシア? 聞いているのか」

 険しい声で、なにがしかの反応を求められているのはわかる。けれども──。

(アレクシアって……もしかしてわたしに向けて言ってる?)

「えっと、あの……」

 ひとまず喋ってみたものの、妙な感覚がしてすぐに口ごもった。自分の喉からアルトソプラノの澄んだ音色が出た気がするが、わたしってこんな声をしていたっけ?

 なにかおかしいと思いうつむけば、自分の服装が目に入って、ぎょっとする。
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