英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「ルシウス様のお母様が、こちらにお越しになられる……?」

「ああ。事情があって母名義にしてある施設が領地内にあるのだが、そこで問題が生じたらしい。情報を共有するため、こちらに立ち寄りたいと連絡があった。来訪日は七日後の予定だ」

 ルシウス様の母親ということは、当然ながらわたしの義母に当たる人である。
 名はグレイス・レオパルド前辺境伯夫人。夫亡きあとは領地を離れて、今は王都のタウンハウスに住んでいるという。

 夫人はルシウス様とわたしの婚礼式にももちろん出席していたが、それ以来、いちどもこちらに顔を見せてはいない。
 その理由は考えるまでもなかった。息子の最悪の門出――幸せな結婚とは程遠い悪夢のような一幕を見せられて、嫁であるわたしに対し、怒りを覚えているからに違いない。

 青ざめていくわたしとは対称的に、隣ではイレーヌ姫が表情を輝かせた。
< 190 / 398 >

この作品をシェア

pagetop