英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 あとについて歩いていく途中、吉川さんが尋ねてきた。

「部のメンバーで日浦さんの歓迎会をしようと思うんだけど、今夜の予定は空いてる?」
「あ……すみません。夜はちょっと……。家の用事がありまして……」
「えっ、そうなんだ……」

 彼が困ったような表情を浮かべたので、申し訳ない気持ちになった。

「もうお店予約しちゃったんだけどな……。それならランチはどう?」
「はい、ランチなら……大丈夫です」

 本当は家から手製の弁当を持参していたが、二度も気遣いを断るほど無神経ではない。
 それから営業部の面々との顔合わせを済ませ、業務内容の説明を受ける。お昼は外でごちそうになってからまた仕事に戻り、緊張の一日は過ぎていった。

 派遣の仕事は収入が安定しないことが難点だが、はじめに希望を登録しておけば、それに合う相手とマッチングしてくれるのがなによりの利点だ。わたしは「残業不可」の条件で今回の契約をしているので、終業時刻になれば遠慮なく席を立つことができる。

 そして定時退社したあとは――。
< 2 / 398 >

この作品をシェア

pagetop