英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
ルシウス様は、男を引きずり、わたしから見えないところに連れていった。この場で彼が直接、尋問するつもりのようだ。
トコトコとそばに来た大きな獣が「耳を塞いでいろよ」と言うので、それに従った。
座り込んだわたしを黒い毛皮が包んで、温めてくれていて――その間、男がどうなっていたのか、わたしは知らない。
*
領主邸へ向かう馬車は、速度を落として坂道を進んでいた。
馬車の中には、ルシウス様とわたしのふたりきり。ロキ君は街に残り、なにやらルシウス様に命じられた用事を済ませてから戻るという。
今は、おとな二人が並んでもなお余裕のある座席で、ルシウス様がわたしの隣に座り、肩を抱いて支えてくれている。けれどもその口は重く閉じられていて、車内には車輪が立てる音だけが響いていた。
トコトコとそばに来た大きな獣が「耳を塞いでいろよ」と言うので、それに従った。
座り込んだわたしを黒い毛皮が包んで、温めてくれていて――その間、男がどうなっていたのか、わたしは知らない。
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領主邸へ向かう馬車は、速度を落として坂道を進んでいた。
馬車の中には、ルシウス様とわたしのふたりきり。ロキ君は街に残り、なにやらルシウス様に命じられた用事を済ませてから戻るという。
今は、おとな二人が並んでもなお余裕のある座席で、ルシウス様がわたしの隣に座り、肩を抱いて支えてくれている。けれどもその口は重く閉じられていて、車内には車輪が立てる音だけが響いていた。