英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 縮こまった舌は優しく導くようにほぐされて、絡めとられる。生々しい接触にビリビリと背筋が痺れて、思考がぐるぐるとかき混ぜられた。

「は……あ、ふぁ……」

 行き過ぎた刺激に思わず相手の服を握り、突き返すように力を込めたが、がっちりと囲い込んだ厚い胸も太い腕もビクともしない。薄目を開けて見れば、彼の呼吸も乱れ、この行為に夢中になっているようだ。

 いつも理性的な彼なのに、まるでこちらの言葉が通じていないような、そんな状況が怖くなる。息継ぎの隙をつき、あえぐように顔を背けた。

「ルシウス、様……」

 抗うつもりが、甘い声音になってしまった。すると一瞬、固まったように間を置いたルシウス様が、唇を肌に押しつけたまま囁いた。
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