英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
けれども姫は余裕を崩さない。薄笑いを浮かべながら、焦らすような足取りで一歩、また一歩と彼のほうへと足を運びはじめた。
「冷たいことをおっしゃらないで。わたくし知っているのよ。あなたがわざと大橋を壊して、わたくしを領地に引き留めようとしたことを……」
「いいえ。橋の崩落は偶発……というと語弊がありますね。何者かの工作により破壊されたと見ています」
「ほ~らね。『何者か』だなんて誤魔化しても無駄よ。工事だってなんだかんだと引き延ばしていたじゃない。わたくしを引き留めたくて必死だったんでしょう」
「修繕工事に度重なる妨害があり長引いた、それだけです」
もったいつけたやりとりにわたしの危機感は高まっていく。固唾をのんで見つめていると、ついにルシウス様の眼前に立った姫が、しなやかなその手を彼の逞しい肩にかけた。
「ルシウス卿、わたくしに恥を欠かせないで……。身も心もあなたに捧げるつもりよ。そんなつまらない女とは離婚して、わたくしと一緒になりましょう?」
姫が背伸びをし、彼に口づけようとするのを見てあっと息をのむ。
「冷たいことをおっしゃらないで。わたくし知っているのよ。あなたがわざと大橋を壊して、わたくしを領地に引き留めようとしたことを……」
「いいえ。橋の崩落は偶発……というと語弊がありますね。何者かの工作により破壊されたと見ています」
「ほ~らね。『何者か』だなんて誤魔化しても無駄よ。工事だってなんだかんだと引き延ばしていたじゃない。わたくしを引き留めたくて必死だったんでしょう」
「修繕工事に度重なる妨害があり長引いた、それだけです」
もったいつけたやりとりにわたしの危機感は高まっていく。固唾をのんで見つめていると、ついにルシウス様の眼前に立った姫が、しなやかなその手を彼の逞しい肩にかけた。
「ルシウス卿、わたくしに恥を欠かせないで……。身も心もあなたに捧げるつもりよ。そんなつまらない女とは離婚して、わたくしと一緒になりましょう?」
姫が背伸びをし、彼に口づけようとするのを見てあっと息をのむ。