英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 するとグレイス様はこちらを振り向き、目の前に詰め寄ってきたと思うと、ドンとわたしの胸を突いた。

「うっ」

 目を白黒させながら二、三歩よろめいて踏みとどまる。相手の顔を見ると、そこには強い嫌悪の表情が浮かんでいた。

「――お義母様ですって? 冗談じゃないわ、気色の悪い」

 ひゅっと息が詰まり、全身が凍りついたように冷えていく。

「おまえのせいで、あの子の輝かしい評判は傷つけられてばかり。今回も、王太子によってはめられるところだった。もしかして、それが狙いだったのかしら!?」

「ち、違います。わたしは……」

「そもそも、あの婚礼式で我が家がどれほど辛酸をなめたことか。それを平然と妻の顔をして、息子を尻に敷いているなんて……。おまえがうちの嫁だなんて絶対に認めない。あの子だってわたくしと同じ気持ちで、苦境に耐えているのだと思っていたのに――」
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