英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 ふだんクールな彼はいつになく目元に雄々しさを滲ませていて、これから起こることへの期待と興奮を煽った。けれどもわたしには前世の知識はあってもそういう経験はないので、まるっきり初めての身にはやはり緊張や不安がつき纏う。

「あの、ルシウス様……、あっ……」

 手加減を願おうとしたそのとき、背中をすくわれ上半身を起こされた。

「大丈夫だ。優しくする」

 向き合って座る体勢で、欲しい言葉をくれる彼はやっぱり最高だ。

「服を、脱がせても?」

 率直に問われて恥ずかしさが胸を焼いたが、ここは避けては通れない。首を小さく縦に振ると、肩を抱き寄せられて彼の胸に軽く手と頬をついた。
 ドレスを脱ぐには手間がかかる。今日はとくに正装をしていたから、するする解けるようにとはいかない。
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