英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「使者よ。訴えが事実であれば、余も怒りを禁じ得ない。だが議論を尽くさずに国民を切り捨てれば、民意は離れる。君主の道理は公爵も理解していよう。よってひとまず訴えの内容を明日の議会にかけることにしたいが、どうだろうか。もちろん、余の名にかけて厳正に対処すると約束しよう」

「か、かしこまりました……それでは、結果を見届けたいと存じます」

 使者は王の提案を受け入れることにしたようだ。

 これで、問答無用で公国に連れていかれることはなくなった。救われた思いで王の顔色をうかがったら、思いのほか冷たい灰色の目が、じろりと睨んできた。

「夫人は審議が済むまで、城に拘束するものとする。連れていけ」
「え、そんな……きゃあっ!」
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