英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 褒めそやしながらの説得に渋々と拳を下ろした王太子は、ドスンと乱暴な音を立てて椅子に落ち着いた。

「チッ、まぁいい。大事な駒だからな、大目に見てやる。……とにかく明日は、私の話に合わせて頷いておけ。それで事は済む。わかったな?」

「殿下の温情に感謝いたします。……おいアレクシア。さっさと返事をせんか!」

 協力などできるわけがないと突っぱねてしまいたかった。しかし疑いを抱かれれば、身動きが取れなくなる。今はおとなしく従うふりをするしかない。

「……公国が要求しているのはわたしの身柄です。あちらは納得するのでしょうか」

「簡単なことだ。我が国で処分したことにして、おまえと背格好の似た死体を用意して送りつけてやればよい。火刑に処したことにすれば判別もできまい」
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