英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 日本にいるときも、こっちの世界でも、わたしは親に恵まれない。彼らは自分のことしか考えない。「子どもは親が自由に使える便利な道具」としか思っていないのだ。
 逃れられない巡り合わせに、自分ではどうにもできない運命の力が働いている気がした。

「どうして……どうしてよ……」

 わたしの人生は、ついに行き詰まってしまった。もどかしさに胸を掻きむしり、その場にうずくまる。

 公国に連れていかれれば、わたしは殺される。さりとて自分が助かるためにルシウス様を貶めることなんてできるわけがない。

 心の中に思い描いていた煌めく未来図が、ひび割れて粉々になり、散っていくのがわかる。指を血だらけにして欠片を掻き集めても、元には戻らない。

(わたしは、この世界でも幸せになれないのね――)

 自暴自棄から漏らした自嘲の笑いはやがて慟哭に変わり、喉が枯れるまで泣き続けた。

     *
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