英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 ――ガシャァァン……!!

 なんとステンドグラスが割れ、なにかが議場内に飛び込んできた。
 派手な音を立てて着地した毛むくじゃらの姿を目にしたとたん、一斉に悲鳴が上がる。

(あれは……魔獣?)

 炎のような赤毛を逆立て、一本角を生やした赤狼。大きさはふつうの狼の倍はあり、鋭い牙を剥き出している。

「緊急事態だ! 王太子宮殿から出現した魔獣がこっちに向かって……遅かったか!」

 出入口の扉を開け放ち、駆け込んできたのは、これまで姿の見えなかったリアム殿下だ。

 王太子宮殿から魔獣が出たと聞こえたが、いったいなにが起こっているのか。

『グァァアオ!!』

 赤い魔獣は咆哮を上げ、空気をビリビリと揺らした。
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