英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 和んでいた気持ちが、一瞬で寒気に襲われる。恐れていたことが起きてしまった。このままではルシウス様が反逆者にされてしまう。

 けれども、この国で最強の騎士であるルシウス様に、兵士は簡単には手を出せない。
 かたやルシウス様も格下の者たちを相手にせず、いきり立つ王太子と向き合った。

「王太子殿下。いや、その座に見合わぬ小者よ。おまえを国家背任罪で告発する」

 予想外の反撃に、王太子が息をのんだのがわかる。さすがに見過ごせないとみて、完全に置いてけぼりになっていた国王が口を挟んできた。

「ど、どうしたのだ、ルシウス。自分がなにを言っているかわかっているのか?」

 ルシウス様はなぜかあらぬ方向――日が差し込む壁面の大窓を見つめて、平然と述べた。

「証拠となるものが、あちらから来たようです。ご自身の目でお確かめください」

 狐につままれたような思いで、わたしも釣られて窓を見上げる。すると、
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