英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 いないはずの者に向けたルシウス様の呼びかけに、なんと返事があった。はたと横を見ると、いつの間にか馴染みの少年と少女がそこに立っている。

 ふたりは悪戯な表情を浮かべると、わたしたちだけに聞こえる小声で報告を行った。

「王太子と護衛たちが出ていったあと、くまなく宮殿を探ったところ、隠し通路を見つけました。その奥には、魔獣を飼育していた檻がありました」

「檻の中では小さくて弱そうに見えたんだけど、外に出したら大きくなってさぁ。いったん逃がしたけど、あれでよかった?」

「よくやった。これくらいの荒療治は必要だろうからな。アレクシアの安全を確保した頃に事を起こすというタイミングも完璧だ」

 満足げなルシウス様はわたしを懐に引き寄せながら、ふたりに新たな命令を下す。

「おまえたちは駐在中の騎士団員と協力し、外にいる魔獣二匹を仕留めてくれ。この場の一匹は、俺が片づける」

『――了解』
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