英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 少年たちは異様なオーラを醸し出したと思うと、本来の魔獣の姿に変貌を遂げた。漆黒と白銀の毛並みを持つ二匹の魔豹は、風のように割れた窓から外へ飛び出していく。

 美しい生き物に見惚れていたら、別方向から悲鳴が届いて注意を引き戻された。

「ひ、ひぃぃ……たっ、助けて!」

 見れば、乱入してきた狼魔獣――レッドウルフが特等席のあたりを踏み荒らしながら、今にも近くにいる人間に襲いかかろうとしている。

 狙いをつけられ怯えているのは、公国の使者だ。出口から遠い席にいたため、逃げ遅れてしまったらしい。

(いけない……!)

 とっさに体が動き、足元にあった石の破片を拾い狼魔獣に投げつけていた。
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