英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 慎ましやかに手を取り合い、指輪の交換を行う。

 ふだんつけられるようシンプルな形にしてもらった結婚指輪は、ルシウス様とお揃いのデザイン。先代から引き継がれた儀礼用の金の指輪を溶かし、わたしたち専用のものとして生まれ変わらせたものだ。

 特別なこの指輪には、永遠を意味する精巧な彫りが入り、それに飾り立てられるように互いの瞳の色をした宝石が埋め込まれている。

 その重みを噛み締めながら見つめ合い、唇をそっと重ねる。すでに慣れ親しんだ感触だけど、熱が触れた瞬間には大切な人の特別になれたことを再認識して、目の裏が熱くなった。

 わたしにとっては初めての結婚式であるが、世間的にはすでに行われた式であることから大袈裟にはしないと決めて、広くは知らせずにおいた。

 それなのにいざふたりで聖堂を出ると、ガラス灯で明るく照らされた広場にはロキ君やヒルダさん、ジョニーさんをはじめとする屋敷の面々が集い、笑顔でわたしたちの到来を待っている。
< 389 / 398 >

この作品をシェア

pagetop