英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「ははっ、仕事をしていったようだ」
「ま、まさか、初夜……的な?」
「期待には応えないとな」

 彼が少し意地悪に瞳を細めて見せる。
 不意打ちの誘惑に、胸の奥がドッと大きな音を立てた。

 なんだろう、本当の初夜でもないのにこの気恥ずかしさ。このままでは心臓がもたない。

「今夜は食事を控えていただろう。腹は空いていないか」
「そ、そうでもないですが……」

 先を行ったルシウス様のそばのサイドテーブルの上には、フルーツを盛り合わせた軽食の用意がされていた。

 手招きをされて、頬に熱を乗せたまま近づいていくと、彼が指でつまんだフルーツを口に運んでくれる。
 照れながらも素直に口を開き「あーん」をすると、ころんとした実が舌の上に差し入れられた。
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