英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 もじもじしているわたしを見て、ルシウス様が小さく笑みを漏らした。

「ではまず、その劇とやらを一緒に観に行くのはどうだ?」

 なんと、デートのお誘いの布石だったとは!

「ぜひ! 行きたいです……!」

 彼の裸の胸に頬を押しつけ、喜びを全身で伝えると、彼がどこか困った顔を見せる。

「やっぱり、もう少しこのまま……いや、なんでもない」

 なぜか苦笑しているルシウス様を急かしながら、張り切って活動を開始した。

 窓の外には鳥が囀り、廊下のほうからは美味しそうな朝食の匂いも漂ってくる。
 屋敷全体が醸し出す幸せな生活感に、自然と口角が上がる。

 紛うことなきわたしの居場所で、一日を始めよう。

 新しく切り開いた人生――もうハズレだとか、毒猫などと呼ばれることは、きっとない。

***(おわり)***
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