英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「吉川のところで雇った新しい派遣の子、どうなの? たしか香澄ちゃんだっけ」
「ちゃん、なんて年じゃねえよ。もっと若い子が来るって期待してたのに、今回はハズレだな」

 会話の内容から、話題にされているのは自分だと知り、息をのんだ。

(ハズレって、もしかしてわたしのこと……?)

 吉川さんの声色はいつもと違っていて、すごく嫌な感じだ。この先は、聞かないほうがいいかもしれない――そう思ったが、足が床に縫いつけられたように動かない。

「真面目で、仕事の覚えは早いんじゃなかったっけ?」
「高い時給を払ってるんだから、それは当たり前だろ。運命の出会いを期待していた俺としてはガッカリさ」
「ハハッ、派遣に運命の出会いを求めんなって」
「あっちだってそういう目的もあんだろ? けどアレはないな。毎日弁当作って持ってきてるっつーからチラッと覗いたら、中身が貧乏くさいのなんの……。金なし非正規の独身女とか、売れ残り確定じゃん。定時ですぐ帰っていくのも印象悪いし――」

 たまらず口元を押さえ、逃げるようにその場を離れた。
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