英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 任務を優先し、おざなりの対応となった婚儀の場はまるで喜劇だった。戻ったときには花嫁は怒り心頭で誓いの儀どころではなく、立ち合いの神父と来賓たちは青ざめ慌てふためき、そのうちに親族席にいた母が気絶したことをもって式は閉幕した。

 そのあとは、どうしたのだったか。妻はこの結婚に不満を抱いているようだし、義務で関わりを持つのも嫌だろうと平然と過ごしていたら、数日後に肩を怒らせた彼女が詰め寄ってきて、朴念仁だの戦闘狂いの冷血漢だの、あれやこれやと甲高い声で文句を言われた記憶がある。

 とにかく妻というものへの関心が失せてしまい、印象の薄いまま日数だけが経過していったように思う。ヒルダに「あいつを殺していいか」と聞かれたときには、誰のことかと問い返したほどだ。
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