英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 だが、折しも一カ月前、アレクシアを妻として迎えることになったときには、邸内の空気が少々荒れた。

 アレクシアとの縁談は――対立する同格の家門を婚姻により結びつけ、国益を生むことはよくある話だ。国王直々の打診で公爵位を叙するために必要だと言われれば、断る理由はない。戦に明け暮れる騎士が人並みの夫婦生活を送れるのか疑問であったが、政略結婚は遅かれ早かれ舞い込む問題でもあった。

 相手の女のことはよく知らないが、誰であろうが大きな違いはないだろう。
 受諾の意を示し、婚約が発表されたとたんに口やかましく結婚に反対する者たちが現れ、そこで初めてアレクシアの悪評を耳にした。ブラッドリー侯爵のひとり娘は、王国でも有数の美女だが、妻にするには最悪の女だと。

 悪名の高さにむしろ好奇心すら覚えながら、式の日取りを迎えて――。

(あれほど様にならない婚礼式もあるまい)
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