英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 目を輝かせ、夢を膨らませていられるのは、少しの間だけだった。

「まぁ、イレーヌ姫様と旦那様がいらっしゃるわ」
「いつ見てもお似合いのふたりよね」

 と、どこか壁一枚を隔てたあたりから、女性のはしゃぐ声が聞こえてくる。左右を確認したが、周りに人影はない。どうやら階をまたいだ真下のバルコニーで、メイドたちがお喋りをしているらしい。

「こちらに身を寄せられたばかりの頃と比べて、姫様の表情は別人のように輝いておられるわね。傷ついたお心を旦那様に癒されて、心を移されたのかしら」

「そりゃあそうよ。横暴な王太子殿下より、うちの旦那様のほうが百倍も魅力的だもの。旦那様もまんざらではなさそうよ。あれはお二方の間に、疑うべくもなくロマンスが生まれているわね!」
< 84 / 398 >

この作品をシェア

pagetop